http://www.asahi.com/international/update/0124/008.html

「開戦時、生物化学兵器なし」米イラク調査団長辞任会見

 米調査団団長としてイラクで大量破壊兵器(WMD)の捜索に当たってきたデビッド・ケイ氏は23日に辞任し、ロイター通信に対し、「イラク戦争が始まった段階で、イラクに生物・化学兵器の備蓄があったとは思えない」と語った。イラクの核兵器開発は初期段階とみられており、ケイ氏の発言は、開戦時にイラクが核、生物、化学の3分野にわたるWMDのいずれをも保有していなかったことを強く示唆するものだ。

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大量破壊兵器、実はなかった説が徐々に有力になってきました。まあ、だからといってフセイン政権の行ってきた虐殺やらが否定されたわけではないですが。

この大量破壊兵器騒動は、アメリカが戦争時に行う情報戦略の一つとして長く記憶されることになるかもしれませんね。アメリカの情報戦略として有名なのは、湾岸戦争時の「ナイラ」という少女の話。


イラクのクウェート侵攻から2ヵ月後、米下院の人権執行委員会の公聴会で一人のクウェート人少女が証言席に立った。少女の名は「ナイラ」、15歳という。ナイラはクウェート市内のアルアダン病院で恐ろしい光景を目撃したと証言した。

「イラク兵が病院の新生児室に乱入して来ました。彼らは保育器から赤ちゃんを一人づつ取り出して床に投げ捨てました。冷たい床の上で15人もの赤ちゃんが息を引き取っていったのです」。

当時のジョージ・ブッシュ大統領は、「心の底から嫌悪を感じる。こうした行為を行なう者たちには相応の報いを受けることをはっきりと知らせてやらなければならない」と述べ、その後の演説で10回もこの話を引用したという。またこの「ナイラの証言」は全米のメディアで大々的に報じられた。その結果アメリカの調査機関によれば、アメリカの大衆に戦争突入もやむなしと考えさせる大きなきっかけになったという。

ところがやがてこの証言が真っ赤な嘘だったことがニューヨーク・タイムズの記者の調べで発覚した。ナイラの身元は身に危険が及ぶとして隠されていたが、実は在米クウェート大使サウド・ナジール・アルサバの一人娘で、アメリカで育ち、クウェートには行ったことすらなかったのである。証言は大手のPR会社ヒル&ノールトンが大金を払って周到に仕組んだものであった。(「戦争報道」武田徹 ちくま新書より)


今回は、開戦に踏み切るための最終的な理由として「大量破壊兵器」の問題を持ってきました。イラクが今後も国際社会の脅威になるということを示す意味もあったでしょう。そういや、戦時中に何度も「大量破壊兵器発見?」っちゅう記事が出てましたっけ。最後にはばれる嘘でも、戦争が終わってしまえばなんとかなるっていう考えなんでしょうねぇ。

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